スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夜想曲(六話) シナリオの誤算

 それはSMゴッコ。妹と私の間の行為はSMニュアンスの
 レズラブでしかなかったのです。

 そしてその日…長野の山中にあるという亜依の友だちの家
 が持つ廃屋へと向かう車中のこと。私のクルマを妹に運転
 させて中央道を走っていた。

 この話がSM的な…つまり小説のようなものならば、物語
 はここからはじまったと言ってもよかったでしょう。
 ここしばらくの頭を冷やせる時間が、私をやさしい女に
 引き戻してしまっていた。夫を性奴隷に堕としてやるなんて、
 どうせ私にはできっこない。廃屋に連れ込んで、たとえば
 裸で山を歩かせたり、浣腸でもしてやって赤恥をかかせ、
 泣かせてやるぐらいはするでしょうが、そうすると即座に
 母性が発動する。可愛くなってそれ以上の残酷はできない
 と思っていました。
 ネットで見るような女王が持つSM道具なども揃えて
 いない。SMになんて発展するはすがなかったのです。

 ところがクルマに乗って走り出し、私の中にふたたび激し
 い怒りがこみ上げてきたのです…。

 土日に金曜日を一日加えて連休をつくり、金曜の朝早くにスター
トした。ハンドルは亜依が握った。廃屋の場所を知るのは亜依だけ
だった。
 運転席に亜依。助手席に将史を座らせて、姉の麻衣は後ろに乗っ
て流れていく景色をぼーっと追った。
 このときの麻衣には、もういいという感情しかなかった。浮気の
発覚から時が過ぎて激情もおさまった。妹の気持ちはもちろん受け
取り、四つ歳下の夫のしょんぼりとした姿にも、許せるだけの謝罪
の気持ちを読み取っていた麻衣だ。夫を奴隷になんてできるはず
がない。女王様になれるほど私は強くないと麻衣は思う。

 ところが…互いの息使いが聞こえるほどの狭い車中に三人は閉じ
込められたようになり、そうすると、なんとなく嫌な男女の間合い
につつまれる。運転席の亜依と助手席の将史。あれほど仲がよくて
会話の絶えなかった若い二人が妙によそよそしい。麻衣は運転席
の後ろにいて、それとなく助手席の夫の目配りを気にしていた。
 運転席を見ようともせず、そっぽを向いて黙っている。亜依もそ
うだ。ときどきルームミラーに向かって後ろの麻衣と必要なことを
話すだけで、普段の明るさが消え失せてしまっている。

 そのことが麻衣にとってはあべこべに二人の間に肉体関係があっ
たことの証に思え、ほんとは好き同士でいちゃいちゃしたいのに私
がいるばっかりに他人のフリでごまかそうとしている…取り繕って
いるだけ…と、そう思えてしまい、そしたらまた激しい怒りがこみ
上げて来る。忘れるには時間が足りないのかも知れない。もう少し
整理してからならこうは思わなかったのかも知れない。

 亜依に対してもそうだった。車中に男女が三人。将史をめぐるラ
イバルであり妹だとは思えない。そして私は四つ下の若い女体に
夫を寝取られた妻…妹によく似た運転席の女に負けてしまった女
だわ。
 感情がマイナスへマイナスへ動き出し、そんな自分への自己嫌悪
も入り混じり、処理能力を超えた悲しみや口惜しさや寂しさや怒り
や、自分自身への情けなさ…妹への愛、夫への愛…すべての感情
が逆巻いて、わけのわからない怒りとなって燃え立ってくるのである。

 クローゼットの中でビニルをかぶせたまま着なくなったミニドレ
スを麻衣は思う。私だって三十なのよ、まだまだ着られる。セック
スアピール。男を誘うようなドレスやミニスカや、私だって持って
いるのに着ていない。妹は違う。独身であり美人であり、ワクワク
するような服を着て男たちの視線を浴びて得意がっていられる女。
 夫と二人のとき…性的に刺激する下着や服を身につけて女の自
分を楽しんでいたはずで…。

 あの頃のことを思い出す。ボディラインの際立つスタイルで将史
を誘ってやったとき、もうたまらないと言うようにビンビンに勃起
させて熱い息を吐いていた。女として認められる喜びに満ちていた
し、求めてくれる将史が可愛くてしかたがなかった。

 そんな服を着なくなったのは何のため…それなのに、よりによっ
て妹と…車中に漂う黒雲のような沈滞した空気感。好き合っている
二人の間に私がいるから生まれる緊張。亜依はもう妹ではない。将
史はもう夫ではない。仲のいい男女が前席にいて、邪魔者の私が、
まさにお荷物のように後席に乗っている。

 許せない!

「いいお天気ね」
「うん、明日も明後日も晴れるって」
 ルームミラーの中で戸惑うように笑う亜依の目だったが、笑みは
長くは続かない。将史はしらじらしく横を見て聞こえないフリをす
る。何もかもが嫌。何もかもが嘘ばかり。
「どっかで朝ご飯にしましょうよ」
「もうすぐ諏訪だから、そこのサービスエリアでいい?」
「そうね、それでいいわ。将史は…」
 後席から声がして、将史は横を向いていた顔をちょっと回し、し
かし妻を見ようとはしなかった。
「自分のしたことを反省するなら今日はご飯抜きですからね」
「う、うん」
「うん? 惚れた女の前だからってカッコつけてないで、はいって
言いなさいよ。二人になると平伏してるくせに。ご飯抜きよ、わか
った!」
「はい」
「はいだけなの! 私のことは奥様って呼ぶように言ってあるでし
ょ!」
「は、はい奥様」

「ふん…」

 それで妹も萎んでいきます。
 もういけない。自制できなくなりそうな怒りで、これ以上
 喋っていると声が震えてきそうです。
 夫には許せると思うまで奴隷扱いすると宣告してありました。
 パンツを穿いただけの裸になって、泣いて泣いて
 平伏して、今度こその忠誠を誓った夫です。
 そのとき私は今日これからのことを考えて、ちょっと面白く
 なっていたのですが、いまの私に緩んだ感情はありません。
 キリキリ軋むほどの緊張が心を締め付けていたのです。

 サービスエリアに着いて、夫だけをクルマに残し、亜依と
 二人で食事です。今日は平日の金曜日。諏訪まで走って、
 それでも時刻は九時前でした。サービスエリアはトラックを
 運転する人たちが朝食に立ち寄って、それなりに混んでいた。

 テーブルに差し向かいで座った亜依も、私の激情を怖がって
 いるようです。
 「ほんとにいいの?」
 「何がよ?」
 「朝ご飯あげなくて?」
 「ふん、おなか空かして泣けばいい」
 「…」
 「あなたもよ。償う旅だってことを忘れないようにね」
 「はい、お姉さま。お仕置きしてくださいませ」

 ここで私は笑えていたはずなのに、怒りの感情だけに支配
 されて頬が緩むことがない。
 こういうときの私は怖い。サディズムが抑えられない。
スポンサーサイト
[PR]

デリヘルもソープもイメクラも気に入った子がきっと見つかる
超大型リニューアル中の大好評風俗情報サイト!
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。