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夜想曲(七話) 揺らぐ元凶

 サービスエリアを出て中央道から長野道へ分岐。いよいよ目的地
へ向かうことになるクルマの中で、声も途絶え、麻衣はますます不
機嫌になっていく。

 姉の心中を妹は同性として察していた。将史への怒り、私への怒
り、しかし本質はそこではない。女は誰でも見たくない自分の姿を
心の底に隠している。狡猾であり、時として怖くなるほど残酷にな
りきれる、もう一人の自分。女の生まれ持つ負の感情はないものと
して過ごしていたい。
 なのにその自分の本質を突きつけられて、かさぶたを剥がすよう
に見せつけられる思い…激しい自己嫌悪が逆転した怒りなのだと
亜依は感じ、愛する姉をそこへ追いやってしまった自分に自責の
念を覚えるのだった。

 しかしまた、そのことで眠っていたマゾヒズムが開花した。姉へ
の償い。罰として与えられる甘美な責めは姉の想い。耐えぬいて
許されるときの喜びに、亜依はたまらない充足を感じるのだ。
 思春期を過ぎた頃から姉に抱かれ、女同士の愛を確かめ合って
きたのだったが、それはある意味、男女の愛よりも危ういものだった。
 確証が得られない。心と心のつながりというだけで、姉は姉で男
に抱かれ、自分は自分で男を知った。いつ切れてもおかしくない関
係だったし、事実、姉が結婚してからはベッドでのひとときが遠の
いていた。

 支配と服従には証がある。少なくともやさしいだけの情愛よりも
ずっと深い。安堵する。ほっとできる。愛を噛み締めて泣くことが
できる苦痛がある。亜依は姉の奴隷でいることで自らの存在意義を
見い出していたのだった。

 だから亜依は、姉にもそういうつもりでサディストを愉しんでほ
しかった。姉はSだと確信できた。不機嫌な姉を見ていて確信する。
同じ状況に追い込まれたとしたら、もしも私なら自己嫌悪が自責の
念に変化して、どんどん萎み、情けない自分を罰して欲しいと願う
だろう。

 姉は違う。自己嫌悪が他人に向かう。よくも私をこんなにしたわ
ね許さないと、相手を攻撃する外向きの感情に変化する。そしてそ
れを受け止めて充足するのがマゾヒズム。女王になりきれる姉に憧
れるし、姉を女王の座におくために私は奴隷になりきれると亜依は
思う。

 亜依はハンドルを握りながら助手席の将史に目をやった。もしも
彼が私と同じ気持ちになれたとしたら、姉は即座に夫を許し、可愛
い奴隷として前にも増して愛を注いでいくだろう。
 女に君臨されたとき男の人がどう出るか。男性不信の思いもあっ
た亜依にとっては将史という男にすべての男性像が重なった。姉に
本気でいてくれるなら奴隷を受け入れてくれるだろう。そうすれば、
女王をめぐる二人の奴隷として、奴隷同士で抱き合っていけると思
うのだ。

「ここで降りますから」

 ルームミラーに映る妹の目が微笑んでいることで、麻衣は、妹だ
けはわかってくれていると感じていた。
 松本インター。高速を降りてしばらくは市街地だったが、あると
ころからいきなり山が迫ってきて、絵画を掛け替えるように山岳地
帯に入っていく。
 しかしそこからが時間がかかる。曲がりくねった山道ではスピー
ドが上げられない。道はついに砂利道になっていた。

「まだなの、遠いわね」

 不機嫌な声に亜依は応じた。
「もう少しです女王様、もうしばらくですのでご辛抱くださいませ」
 後席の麻衣はハッとした。将史にこれからの心構えを伝えようと
している。このとき助手席も将史も、ちらりと運転席へ目をやった。
 斜め後ろからそんな夫の横顔を探る妻。将史は弱く首を垂れ、
これからの運命を悟ったように沈黙した。

「そういうことよ将史。あなたね、許してくださいって裸で平伏し、
妻の足を舐めてまで償うと誓ったの。許されるなら何でもするって
あなたは言った。嘘ならおしまい、離婚です」

 将史は声もなくこくりと小さくうなずいて、うつむいた。
「今日と明日、まずはそこからよ。許せると私が思うまでは服従な
さいね。できる? 誓える?」
「…はい奥様」
「ずっとオナニー禁止を言いつけてあったわね。自分でしたりして
ないでしょうね?」
「はい、それは誓って」
「こすってない?」
「はい」

 夫はすでに羞恥でしょう。ルームミラーを私が見ると、妹の
 目が微笑んでいるんです。妹だって私たちを壊したくない。
 よかったわねお姉ちゃんと妹の目が言っている気がしたわ。

 そしてその一言を境に、私の不機嫌すーっと流れて消えて
 いき、前向きのサディズムに変化していた。心が軽くなって
 いる。夫の愛を信じてましたし、つまらないプライドなんて
 かなぐり捨てて償ってくれると思っていました。

 SMの道具らしいものなんて積んでなかった。クルマに乗り
 込むそのときまで、そんなつもりはなかったからです。
 けれど妹が言った『女王様』という一言で、私の気持ちは
 定まった。その一線の向こうとこちらへ振り子のように
 揺れていた女心が一線を超えて踏み出した一瞬だったのです。

 「さあここです、女王様」

 時刻はお昼前。高速を降りてからが時間がかかった。初秋
 の山は心地よく晴れ渡り、すがすがしい山風が吹いている。

 その廃屋は、人造湖が樹々の足下から透けて見える斜面の
 上に、ぽつんと取り残されるように建っていました。
 雪国らしい平屋の家。外見こそ古くても中には手が入れられ
 て一通りのものが揃っている。水道はもとより井戸です。
 台所の横にプロパンガスのボンベがあって、電気だって
 ちゃんと来ている。斜面のずっと上の方に道路が走り、
 そこから電線を引いていると亜依は言います。

 納屋があった。林業を営んだ家の納屋は広かった。中には、
 山仕事の名残りのような鉄の道具が錆びついていて、でも
 それとは対照的な、カラフルなスキーやスノボ、それぞれ
 のブーツなど、若者たちの冬の遊びがしまわれてあったの
 です。このへんはスキー場が近いからと、そう言えば聞か
 されていたことを思い出す。

 そしてふと黒ずんだ板壁に目をやって…ふふふ。

「縄があるわね」

 古いものではなかった。キャンプなどで使えるよう、ナイロンのも
のと柔らかな綿ロープが巻かれて提げられてあったのだった。
 そのほか板の端材や細い竹の棒、工具などさまざま雑多なもの
が置かれてある。人がいないというだけでいますぐ暮らせるように
されている。
 着いて一度家に入り、納屋を見て家の周りをぐるりと歩く。初秋
のいま、家の周りは草に覆われていたものの、春先になって手入
れされていたからか思ったほど深くない。木立の足下から人造湖
を望む前側を除く三方が鬱蒼とした森であり、人の気配は絶えて
いる。
 まだ虫がいる季節。ヤブ蚊ももちろんいるだろう。

「脱ぎなさい将史! 服従しないとそこらの木に縛り付けておくか
らね。体中蚊に刺されてボコボコよ」
 亜依は横目でちょっと姉を見た。
「亜依もよ、素っ裸です!」
「は、はい女王様…」

 ゆらゆらとサディズムの炎が麻衣の眸の奥に揺らいでいた。
 亜依はゾッとする恐怖を感じ、反応しはじめるマゾな体に戸惑っ
た。調教に期待する想いが性器を濡らしだしている。
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