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夜想曲(十二話) それからの三月

 その日それから、将史にとってSMらしいことはなかった
 はず。外に連れ出して冷たい井戸水をぶっかけて、豚でも
 洗うようにしてやって、いまどきあえて赤チンを体中に塗
 って遊ぶ。
 そのとき傷が思ったよりも残酷で、今日はもいいいいと思
 えてしまった。
 夕食は与えてやった。素っ裸の赤チン男に犬のポーズをさ
 せておき、妹と二人で嘲り笑いながら、台所にあった白い
 プラのボウルを置いてやり、妹と二人で一度口に入れてぐ
 ちゃぐちゃに噛んだものをボウルに吐き出してやって食べ
 させる。

 でもそのぐらい。将史の謝意は充分すぎるほど受け取って
 いた私です。というか、もはやそんな次元ではない。奴隷
 の服従に満足したと言ったほうがよかったでしょうね。
 奴隷を亜依に委ねて私はさっさと寝てしまった。家には部
 屋が三つあり、田舎らしく囲炉裏跡のある大広間を隔てた
 向こうとこちらに分かれて眠った。
 布団は置かれてあってもシーツは持ち込み。そういう約束。
 ちょっとカビ臭く湿った布団でしたが、いつもと違う牢屋
 のような夜が楽しめて、それがまた私のサディズムに共振
 した。

 眠くはない。考えたかった。何をと言われても困るのです
 が、私には私自身の心の組成を組み替えてフィックスする
 時間がいる。
 けれど独りになって考えているとき、私はハタとあること
 に気づいたのです。将史を妹に預けたことでメラメラと嫉
 妬の想いが湧き上がってきている。なにしろ一度は抱き合
 った男と女ですからね。いまごろ二人は…と思ったときに
 ほどよい怒りが湧いてくる。

 でも、だからいいと考えた。これから二人を調教するとき、
 どちらに対しても母性が働き結局甘くなるでしょう。マン
 ネリもあるでしょうし。そうしたときに二人を一緒にして
 やれば怒りのモードに私自身をシフトできる。これはいい
 と思ったのです。

 二泊のつもりの廃屋でしたが、翌日には戻って来ていた。
 将史の傷が酷すぎたのと、あまりにも長閑な景色に拍子抜
 けしてしまい、戻ってピアノを弾きたくなった。
 いいえ、このときすでに将史が可哀想でならなかったのか
 もしれません。背中もお尻も拷問の痕が深く、ペニスなん
 て紫色の萎びたナスみたいになっている。
 とにかく、長閑過ぎる景色が私の心をベタ凪ぎにしてしま
 い、将史に対しても妹に対してもS女モードにはなれなか
 った…。

 さて、それからの三月、私は将史よりも亜依の躾けに専念
 していた。将史は従順でしたし、しばらくそっとしておく
 必要があったからです。
 亀頭の笠溝を横に貫くピアスをし亀頭を覆うステンレスの
 カバーをつけた。海外のネットで見たものでしたが国内に
 もあることがわかり、オーダーしたら三日で届いた。鍛え
 られたハードマゾでも地獄の日々だと書かれてあった。
 それと両方の乳首にリングピアス。陰毛を奪ってやって、
 それらを装着したものだから傷が落ち着くまでは危険だか
 らなんですけれど。

 夫は可哀想なほどしょげている。亀頭の下を横に貫く太い
 シャフトは固定され、それに亀頭の形をしたカバーをセッ
 トして専用のボックスレンチで固定するものなのですが、
 二日に一度は外してやって薬用石鹸で洗い、抗生物質の
 入った軟膏を塗ってやる。
 そのとき以外は亀頭に触れることもできなくなった。勃起
 なんてしませんでしたね。大きくすれば出血するし、しば
 らくは痛いのでしょう。精神的なショックももちろんあっ
 たでしょうし。
 魂を奪われた木偶(でく)のようにしょんぼりしておとな
 しい。ですからむしろ将史にはやさしくしたわよ。

 亜依には厳しく対処していた。陰毛は伸ばすことを許しま
 した。体へのピアスなんて妄想に過ぎず、大切な妹の将来
 を奪うつもりなんてない。妹は美人です。それに加えて男
 をメロメロする術を覚えて欲しい。
 妻の不幸には典型的なパターンがあると思ってる。昼日中
 はやさしくして。夜は大切にして欲しい。何様のつもりな
 のか、そんなふうだから男は嫌気が差すのです。
 昼日中は女王でよろしい。コキ使ってやればいい。でもね、
 ベッドでは奴隷になることよ。精液だろうが尿だろうが飲
 めるほどの奴隷になれれば、男どものつまらないプライド
 が満たされる。愛されて必要とされる可愛い妻になれるの
 です。

 亜依には肉体的な責めよりも精神的な服従を覚えさす。体
 に傷を残すなんてあり得ない。その代わり精神的には徹底
 した奴隷とする。下着なんて許さずに、ところかまわず性
 器を晒させ、羞恥の底に落としてやる。
 お仕置きは厳しく針です。マチ針で乳首を貫き、乳房に刺
 して、お尻にも、クリトリスさえ貫いてやるんです。激痛
 で泣くけれど細い針は消えない傷を残さない。
 おしっこを飲ませたりトイレの後の紙代わりに臭いアナル
 を舐めさせたりしたのは、将史より亜依の方なんですね。

 三月で奴隷亜依は完成したわよ。私が欲すればどんなこと
 にも服従する。夜中にクルマで連れ出して、素っ裸で自販
 機に向かわせるようなことまでも…ちゃんとできたご褒美
 に女王が脚を開いてやると、もうね、意識が飛ぶまでイカ
 セてくれるわ。ペニスバンドやバイブなんかで白目を剥い
 て失禁するまでイカセてやるし。
 将史の前で裸にしてやり、白いお皿にウンチをさせる。亜
 依は泣いて震えながらも、私に愛されるためだけに服従す
 る。

 可愛いものよ。たまらなく可愛くて抱いて寝てやる。体に
 は一切傷はなく、真っ白な美しい女体を持つ完全奴隷とな
 っていた…。

 亀頭への生涯貞操を誓うカバーを施し、三ヶ月が過ぎていた。
その週の金曜日、仕事から戻った将史はいつものように浴室へ連
れ込まれ、カバーを外してもらって洗われて、しかし刺激はそれだ
けでカバーを戻され、それからアップライトピアノが置かれたリビン
グに正座を命じられて座っていた。全裸だったが暖房が効いてい
るから寒くはない。
「膝で立って手は頭でしょ」
「はい奥様」
 今夜は亜依はいなかった。自分の部屋に戻っている。二人きり
のとき、麻衣は奥様と呼ぶように命じてあった。女王など心にあれ
ばいいことで、面と向かって言われるといやおうなくSMになって
しまう。麻衣の心持ちはそうではなかった。

 麻衣は、素直に従う夫の両乳首のピアスをつまみ、乳首を伸ば
すようにしてコネながら、穏やかな微笑みを向けていた。
「もう痛まない?」
「はい奥様、乳首はもう大丈夫ですし、おちんちんの先も痛くは
ありません」
「そう、よかったわね。よく耐えたわ。可哀想ね」
「あぁ、はぃぃ…ンふっ…」
 乳首を愛撫され、三月の間責めがなかった綺麗なペニスは血
管を浮き立たせて勃起した。
「大きくしても血も出なくなったみたいね。どう? 乳首気持ち
いいでしょう?」
「はい奥様…ぁふ、ンふ…ぁ…ぁ」
 奴隷は、待ち望んだ快楽が嬉しいのか、涙をぽろぽろこぼしな
がら甘い声を発していた。勃起する肉茎がビクビク脈動してステ
ンレスカバーのかぶる亀頭を振り立てて、ほどなく白い体液をた
らたらと漏らし出す。

「ふふふ、もうなの? 気持ちいいわね、よく耐えたご褒美です
けど、でもダメよ、まだまだこすってあげませんから」
「はい…気持ちいいです、ありがとうございます奥様」
「泣いちゃって…可愛いわ」
「はい、嬉しいです、気持ちいいです…」
 抱き締めてやりたくなる。
「奴隷にとって奥様の責めは嬉しいことなのよ。鞭だろうと針だろ
うと、泣いて泣いて甘えていられることは嬉しいことなの。そして
ご褒美にこうして少しだけ精液を垂らすことを許される。それしか
ないのよ。奴隷の悦びはそれしかないの。わかったわね」
「はい奥様」

 アップライトピアノの前に、座面の一部が欠落した長椅子が置
かれてあった。将史に作らせた。シングルベッドの半分ほどしか
幅のないベッドが後ろに延びるように組み合わされていて、奴隷
は仰向けに寝て女王の尻の下に顔を置く。女王は女の魅力のす
べてを見せつけて座り込み、奴隷が決して犯すことのできない性
器を舐めさせる。興奮してどれほど勃起させようと気持ちのいい
射精は訪れない。

「さあ寝なさい。いい子にしていれば毎日ご褒美ですからね」
「はい!」
 長椅子の途切れたところに奴隷の顔がはまり込むようになる。
少し余裕を持たせてあって窒息するほどではない。目鼻の距離
に妻の性器を見せつけられて若い夫は性欲がたぎり、しかし決し
て妻の中には入れない。イケない苦しみは、四六時中妻のことば
かりを考える心の飢餓に置き換わり、奴隷の身分を思い知ること
にもなる。もっとも乳首とペニスに奴隷の証をしていては他の女に
手も出せないが。

 椅子の切れ目の間から泣き濡れる丸い目を向ける夫を麻衣は
見下ろしてほくそ笑み、パンティを穿かないフレアスカートを開い
て、真っ白な女王の尻を近づけた。
「見えるでしょ」
「はい見えます、ぁぁ奥様…ぅぅぅ…」
「可哀想ね、泣いちゃうよね。イキたいもんね。でもダぁメ、ま
だまだ許しませんからね。どんな顔してるのかしら」
 スカートの前を上げて覗き込むと、奴隷は涙を流して見上げて
いる。椅子の後ろに延びるベッドに横たえた裸の男の体から角が
生えるように勃起が逆立ち、妻の性器を見せつけられてビクビク
と頭を振る。

「ふっふっふ、あっはっはっ! たまらないわね。こうすることを
妄想したけど、まさか実現しようとは…さあよく匂いを嗅いで、舌
を伸ばして静かに舐めるの。ベロベロしちゃダメよ、お尻が青く
なるまで鞭ですからね」
「はい奥様…ぅぅぅ、ああ奥様、素敵です…」

 鍵盤に指をそっと置いたとき、股ぐらの底から熱い息と舌先が
やってくる。
「お尻の穴から綺麗になさい」
「はい奥様」
 ノクターン。いつものように運指しようとしたのだが…。
「はぅ…ンふ…はぁぁ…いいわ、すごくいい…ああ感じる、お汁が
一気にあふれてきちゃう…どう? 美味しいでしょう?」
「はい…ぅぅぅ、悲しいです、シタいです…ぅぅぅ」
「ふっふっふ、泣け泣け、たらたら精液漏らしてなさい…」
 そっと慈しむような舐め上げの刺激は、やがて、それがあって
当然の刺激となり、ピアノを弾く差し障りにならなくなる。
「はぁぁ気持ちいいわよ変態奴隷」
「はぃ…ンふ…」
「そうそう、舐めさせていただくだけで感じ入って精液を垂らして
しまうのが奴隷の悦び。それしかないの。わかったわね」
「はぃ…嬉しいです奥様…ぉぅぅーっ!」
「もっと泣け、泣きじゃくれマゾ野郎。はぁぁ、感じるわ…」

 夜想曲の旋律が夜風のように揺れていた。

「おしっこしてやろうかしら…ふふふ、便器男にしてやろうかしら。
美味しいわよきっと、愛する妻の排泄だもの」
「はい、いただきます…どんなことでもいたします」
「ほんとに?」
「はい、お仕えいたします奥様…」
「支配するわよ、一生だからね。射精なんて許さないから」
「はい…あぁぁーっ、うわぁぁーっ!」
「あはははっ! 泣き喚け! あはははっ!」

 ノクターンのしらべが続かない。麻衣の腰がクイクイ揺れて、口
吻をまくり上げ、白い歯を剥き出しにしてアクメの頂へと昇華して
いく…旋律をキープできない鍵盤がバーンと鳴って静まった。
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