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きわどいだけじゃ燃えなくて(一話)

 乾(いぬい)陽子、アラサーな二十九よ。
 学生時代の友だちなんて、いまだにシングルたく
さんいるのに私はとっくにママなんです。結婚が早
かった。彼は二つ上ですけれど、私が二十歳の頃か
ら二年付き合い、私の卒業を待って結ばれた。翌年
には坊やも生まれて傍目には幸せな若妻なのでしょ
うけれど。

 クローゼットの扉を開け放って息抜きさせている
ときに、ふと悲しくなったのです。シングルな友だ
ちたちは、私の歳でいまだ独身とうことは恋を重ね
ているはずよ。だけど私は早過ぎました。卒業して
人並みに社会に出たのはよかったけれど、おなかに
あの子が来てしまう。同年代の子たちが転がるよう
に遊んでいるのに、私にはそんな記憶が少ないの。
ろくに仕事もできないうちから産休ですから会社に
したって不要でしょう。
 主人の実家が遠くなく、チャリな距離のマンショ
ンに住んでます。おなかの初孫が心配なのかお義母
さんがうろちょろしていて遊べなかった。

 そのときはよかったの。旦那もやさしいヤツなん
だし、言われるような嫁姑の諍いもありません。平
穏な家で暮らし、おなかがどんどん目立っていった。
 そしてオギャー。可愛い子でね、幸せで幸せで毎
日が弾むようでした。子育てが楽しくて、実家の援
助もありましたから、それきり仕事にも出ていない。
 まさに嫁です。家にくっつく女になった。子供が
できて、これでもし二人目が入ってくれたらそれど
ころじゃなくなっちゃう。避妊してるわけでもない
のに、それきり生理がきっちりくるのよ。

 クローゼットに娘の私が生きていた。ボディコン
なイメージのラメワンピだったりするし、マイクロ
ミニのレザースカート。着られないのではなく穿け
ないのではなく、着なくなって穿かなくなった娘の
私がさがっています。ビニルのカバーをかぶせられ、
春先のいま着なくなったコートよりも向こう側に退
いている。

 まだ二十九なのよ。シングルな友だちなんてキャ
リアを重ねてギャルを大人にしたように輝いて見え
るのです。髪の毛も出産でいっときショートにした
けれど、友だちたちを見ているうちにロングヘヤー
が復活していた。百六十六センチのボディだって、
坊やに吸われて乳首の色が濃くなったぐらいで変わ
っていない。
 自分で言うのもなんですけれど、そういう服が似
合うんです。

 旦那のやさしさ、実家のやさしさ、あの頃ほっと
していたことが、いまになってノッペリとした平穏
に変わって来ている。物足りない。日に日に成長し
てくる子供を見ていて、それはつまり私が老けてい
くことで…。
 トキメキたい。男の人のお尻が気になりドキドキ
していたあの頃に戻りたい。だって同年代のシング
ル女は男に目を輝かせているんだもの。
 いいえ、不倫なんてするつもりはありません。暮
らしを壊してしまうようなことは無謀です。
 溜息混じりにクローゼットの扉を閉めて、夕食の
支度にかかる。馴れきった日々の中で暮らしていま
す。

「悦子、ちょっとそれ…」
「見えそう? あははは、好きなのよ彼が、ミニ穿
けってうるさくてさー」
 きわどいスカート。ぷりぷりのお尻にぴったり張
り付いて、女の私が見ていてもドキドキするほどバ
ックラインがセクシーです。
 いいなぁ…嬉しそうなんだもん。
「あーあ、ミニスカか…」

 ほとんどもう諦め気分でさげてあった赤いレザー
のスカートを合わせてみた。そのときはちょうど着
替えの途中だったから下はパンティだけでした。
「穿けそうね…どれどれ」
 クローゼットの扉の裏の姿見に下だけパンティな
私を映しながら穿いてみました。
 ジャストぴったり。サイズが変わっていないこと
にほっとした。私は長身ですからね、脚が長くて目
立つのです。
「いい女じゃん…ふんっ、虚しい、誰も言ってくれ
ないし」
 ミニスカを穿き込んで前屈みにお尻をぷりと突き
出してみる。
「うわっ見えそ。こんなん穿いてたんだ私」

「穿けばいいじゃん」
「え?」
「穿きなさいよ若いんだから。子供だってお祖母ち
ゃん子で手が離れて来てるでしょ。二人目来たらお
しまいよ。妊娠一年、それから数年。その頃もう若
くない。いまだよいま。穿きなよね。ミニスカノー
パン。ドキドキできるよー、あははは!」

 魔女のような声がする。本音の私がそそのかして
いるようです。
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