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きわどいだけじゃ燃えなくて(七話)

 川上敏也、二十歳の学生さん。そう名乗るところ
から私たちの不思議な関係がはじまったのです。

「陽子さんか」
「そうよ」
 カフェ。セルフのお店でしたが、私はアイスコー
ヒーと彼に告げただけでお店を見回しトイレを探す。
 激しく濡れてる。フレアミニの内側でこすれ合う
内腿がヌメっている。ミニスカノーパン。ここで会
ったことより、あのときスタジアムの階段上に立っ
ていて、この子にお尻を見られていたと思うと、そ
っちの方が私を濡らしていたのです。
 逃げるようにトイレに行った。ところが先客あり
で扉の前で待っている。ミニスカ生足の女がトイレ
の前にいるだけで店内から視線が忍び寄る。風がな
いから安心ですし、ミニといってもマイクロミニほ
ど短くはありません。

 個室に飛び込み、トイレットペーパーをかっさら
って股間を拭いた。性器ではなく股間なのです。内
腿までがヌラヌラしていてエッチの後始末のように
なっている。
 ついでにもちろん便器に座る。シャワートイレな
んですね。とにかくアソコを洗いたかった。
 そしてちょっとほっとしたとき、初対面の男の子
をお茶に誘った暴挙を思う。ノーパンだと知ってい
る。露出狂だと知っている。そんな子をわざわざ誘
って私は何をしたいのだろう。
 彼の気持ちも考えました。露出狂の変態女に誘わ
れて彼は何を期待しているのだろう。もしかしてヤ
ラせてくれる? 冗談じゃありません。不倫になっ
てしまいます。
 トイレを出ても話題がない。というかノーパンで
あることが話題の先頭に来てしまう。

 トイレを出て彼の席を探したとき、彼がこっちを
見ていてくれて手を上げてくれるんです。清々しい
ほどの若さ。ハンサム! とまでは言えませんが性
格の良さそうな雰囲気です。
「もしかして濡らしてた?」
「ぇ…そんなこと言わないで、聞かれちゃう」
 いいえ、お店はガラガラ。周囲は空席ばかりです。
「露出シュミなんだ?」
「…」
 声が出ません。ほっぺたが溶けて崩れそうなほど
恥ずかしい。だけどこのときゾゾーっと背筋がむず
痒くなるほどの性感を感じていた私。どうかしちゃ
った。私はどうかしちゃったみたい…。
「お姉さんて人妻なんですね」
「え!」
 しまった。結婚指輪をしたままでした。家を出る
ときすでに舞い上がっていたようで、外してくるの
を忘れてしまった。

「少し上でしょ?」
「歳?」
 うんと言うようにうなずく彼。私と同じアイスコ
ーヒーのストローに口をつけながら微笑みます。
「九よ」
「三十九か、へぇぇ」
「ま、失礼な」
「くくく、ごめんごめん」
 いい子です。直感として、いい子です。知らず知
らず私までが笑っていた。
「君ってスポーツやってる子?」
 話題を変えたい。何でもよかった。
「競歩っす」
「競歩? 陸上の?」
「海上ではムリっすよ」
「ま…ふふふ、面白い子ね」
 競歩。むにゅむにゅ蠢く男のお尻を想像していた
私です。

「お姉さんこそ。ミニスカノーパン。羞恥に燃えて
濡らしちゃって」
 話題が戻った。私はまた火の出るような恥ずかし
さを覚えます。
「旦那さんとうまく行ってない?」
「それはない、ラブラブよ。子供もいるしね」
「なのに露出?」
 もうダメです。ごまかしようがありません。
「クローゼットにね」
「ええ?」
「いつの間にか穿かなくなったミニスカとか下がっ
てたのよ、ワンピもあったし。ビニルをかぶせて。
結婚が早かったでしょう。だから友だちに独身がい
っぱいいて可愛いカッコしてるのに、私だけ何で主
婦でママなのって思ってしまった」
「うん」
「私だってまだまだよって思ったら急にヘンな気分
になっちゃって」
「うん」
「このあいだのスタジアムが最初なの。山下公園と
か中華街とかミニスカで歩き回って、そしたら視線
をビンビン感じて嬉しくなって…」

 私って何を言ってるんだろ? 無関係なこの子に
身の上話してどうするのって思いながら、露出の訳
を説明していた。
 この子ならわかってくれそう? たぶんそうだっ
たと思うのです。変態じゃないし淫婦でもない。私
の寂しさをわかって欲しかったのかもしれません。
「信じるよ」
「そう?」
「信じるし、ミニスカがよく似合う。可愛いと思う
よ、お姉さんて」
 可愛い? 九つも下の坊やに言われ、私はよけい
に恥ずかしくなっていた。いい歳をして何やってい
るんだろうと、そっちの羞恥。

「か、川上くんて、彼女はいる?」
「いるけどいない」
「はい?」
「遠距離なんです。僕は熊本、アイツもそう。向こ
うで働いてるんですよ。家業があって手伝ってる。
旅館やってる家っすから」
「そうなんだ。遠すぎて会えないね」
「てか金ないから、ははは、クルマじゃ無理だし」
「クルマ持ってる?」
「ありますよ一応、中古すけど」
 若い吸引力がアイスコーヒーを吸っていく。私は
まだ半分残しているのに空っぽでズズズって音を立
ててます。

「コーヒーもっと飲む?」
「あ、はい、ラージにしとけばよかった」
「ふふふ、そうね」
「買ってきてください」
「え?」
「危ういスタイルで歩き回って。見ていてあげる。
あのときの白いヒップが焼き付いちゃって」
「ヤだ…」
「これからそのへん散歩しましょう。階段を先に
行って僕が下に立っている。燃えて濡らして恥ず
かしがるお姉さんを見ていたい。可愛いもん」
 立ち上がる膝が抜けてしまいそう。
「目撃者になりますよ。お姉さんとはいいカンジ
になれそうだ」

 目撃者ができました。

 恥辱の極みの嫌な汗をかきながら席を立ち、な
のに私は、私の姿を追いかけていてくれる彼の視
線に心地いい愛撫の感触を感じていたのです。
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